材料の重量計算方法と密度一覧|鋼材・ステンレス・樹脂の比重早見表

材料の重量計算と密度一覧 樹脂・プラスチック材料

「材料費、これいくらになる?」

朝一番でかかってきた電話。図面はもうメールで届いている。ただ、鋼材も樹脂も、価格が決まるのは円/kgだ。図面に書いてあるのは寸法だけで、重量はどこにも書かれていない。

材料の重量計算は、見積りの入口に必ず出てくる作業です。式そのものは体積に密度を掛けるだけで、複雑なところは何もありません。それでも桁をひとつ間違えたり、図面寸法のまま計算して実際の発注量と合わなかったりというつまずきは、中小製造業の現場でよく起こります。この記事では、形状別の計算式と主要材質の密度一覧をまとめました。あわせて、寸法を入力するだけで重量と概算金額が出る計算ツールも用意しています。

材料重量の計算式は1つだけ

材質や形状が変わっても、使う式は変わりません。

重量(kg)= 体積(mm³)× 密度(g/cm³)÷ 1,000,000

形状によって変わるのは体積の求め方だけで、密度は材質ごとに決まった値を当てはめます。最後に1,000,000で割るのが唯一のひっかかりどころですが、これには理由があります。

単位換算でつまずかないために

図面の寸法はmm、材料の密度はg/cm³で表されます。単位系が違うまま掛け算をすると、結果が1,000倍ずれます。実際、材料重量の計算ミスで最も多いのがこの桁違いです。

1cm³は、10mm×10mm×10mmですから1,000mm³です。まずmm³で求めた体積を1,000で割ってcm³に直し、密度を掛けてg単位の重量を出し、さらに1,000で割ってkgにします。1,000で二度割るので、合わせて1,000,000というわけです。

実際に計算してみます。SS400の丸棒、直径50mm、長さ1,000mmの場合です。

  • 体積:0.7854 × 50 × 50 × 1,000 = 1,963,495mm³
  • 重量:1,963,495 × 7.85 ÷ 1,000,000 = 15.41kg

鋼材メーカーの規格表でも、φ50の丸鋼は1mあたり約15.4kgと記載されています。手計算の結果と一致します。

比重と密度は何が違うのか

調達や設計の会話では「比重7.85」という言い方をよく耳にします。厳密には、密度は単位体積あたりの質量でg/cm³という単位を持ち、比重は4℃の水を1としたときの比率なので単位を持ちません。

ただし水の密度がちょうど1.0g/cm³なので、g/cm³で表した密度の数値と比重の数値はほぼ同じになります。重量計算に使う分には、同じ数字を入れて問題ありません。カタログや規格表で「比重」と書かれていたら、そのままg/cm³として扱ってください。

形状別の体積計算式

実務で使う頻度の高い4形状を挙げます。寸法はすべてmmで統一してください。

丸棒

体積 = 0.7854 × D² × L(D:直径、L:長さ)

0.7854は円周率を4で割った値です。直径を二乗する点に注意してください。直径が2倍になると重量は4倍になります。

角材・平板

体積 = W × T × L(W:幅、T:厚さ、L:長さ)

最も単純な形です。定尺の板材から切り出す場合は、切り出し後の寸法ではなく、実際に購入する板のサイズで計算するかどうかを見積りの方針として決めておく必要があります。

丸パイプ

体積 = 0.7854 ×(D² − d²)× L(D:外径、d:内径、L:長さ)

カタログに肉厚tしか書かれていない場合は、内径d = D −(t × 2)で求めます。肉厚を1回しか引かないミスが起こりやすいところです。

六角棒

体積 = 0.866 × B² × L(B:二面幅、L:長さ)

Bは対角ではなく二面幅(スパナがかかる幅)です。0.866は正六角形の面積係数で、√3を2で割った値です。ボルトやシャフト部品の材料取りで使います。

アングルやH鋼などの形鋼は、計算せずに規格表を引く

架台やフレームで使うアングル(等辺山形鋼)、H鋼(H形鋼)、チャンネル(溝形鋼)は、ここまでの体積計算が通用しません。断面の隅にフィレットと呼ばれる丸みがあり、先端にも面取りが入っているため、板を組み合わせた形として計算すると実際の重量とずれるからです。

形鋼はJIS G 3192で、この丸みを含んだ断面積と単位質量が規定されています。実務ではこの数値をそのまま使います。

重量(kg)= 単位質量(kg/m)× 長さ(m)× 本数

たとえばH-200×100×5.5×8の単位質量は20.9kg/mですから、6m材を10本発注すれば20.9 × 6 × 10で1,254kg、約1.25トンになります。単位質量はメーカーのカタログや鋼材商社の規格表に載っています。

手元に表がなく断面積だけ分かっている場合は、次の式で単位質量を出せます。

単位質量(kg/m)= 断面積(cm²)× 密度(g/cm³)÷ 10

鋼であれば密度7.85なので、断面積に0.785を掛けるだけです。規格表の単位質量も、この計算で求められています。ステンレスやアルミの形材を扱うときは、鋼用の表をそのまま使わず、この式に該当する密度を入れてください。上の密度一覧がそのまま使えます。

古い規格表の数値が残っていないか確認する

ひとつ注意点があります。JIS G 3192は2014年の改正でフィレット半径の規定が見直され、一部サイズの断面積と単位質量がわずかに変わりました。先ほどのH-200×100×5.5×8も、現行規格では20.9kg/mですが、古い便覧には旧断面に基づく21.3kg/mが載っていることがあります。

社内で長く使っているExcelの重量表が、改正前の数値のままというケースは珍しくありません。積算した数字が商社の見積りと合わないときは、参照している表がいつのものかを確認してみてください。

寸法を入れるだけで重量が出る計算ツール

ここまでの式を実装したツールです。材質を選び、寸法と本数を入力すると、1本あたりの重量、合計重量、概算金額が表示されます。金属と樹脂を切り替えずに同じ画面で比較できるので、代替材の検討にもそのまま使えます。

kg単価が分かっている場合は単価欄にも入力してください。材料費の概算までまとめて出ます。なお、アングルやH鋼などの形鋼はこのツールでは計算できません。前章の単位質量から求めてください。

主要材質の密度一覧

手計算する場合や、ツールに載っていない材質を扱う場合の参考値です。いずれも代表値で、メーカーやグレードによって多少前後します。

鉄鋼・ステンレス

材質密度(g/cm³)特徴
SS4007.85一般構造用圧延鋼。流通量が最も多い
S45C7.85機械構造用炭素鋼。焼入れができる
SPCC7.85冷間圧延鋼板。板金加工の標準材
SK材(炭素工具鋼)7.85刃物・治具に使用
FC2507.20ねずみ鋳鉄。振動吸収性が高い
SUS3047.93オーステナイト系。最も汎用的
SUS3167.98モリブデン添加で耐食性が向上
SUS4307.70フェライト系。磁性あり、比較的安価

非鉄金属

材質密度(g/cm³)特徴
A50522.68アルミの汎用材。加工性と耐食性のバランスが良い
A2017(ジュラルミン)2.79強度が高い。耐食性は劣る
A60632.70押出形材。フレーム材に多い
C1100(タフピッチ銅)8.94導電性・熱伝導性が高い
C3604(快削黄銅)8.50切削性が良く、旋盤部品に多用
チタン2種4.51軽量かつ高耐食。加工難度は高い
ZDC2(亜鉛ダイカスト)6.60複雑形状の量産部品向け

樹脂

材質密度(g/cm³)特徴
POM(ジュラコン)1.41摺動部品の定番。寸法安定性が高い
MC901(MCナイロン)1.15耐摩耗性に優れる。吸水しやすい
PA6(ナイロン6)1.14汎用エンプラ
PP(ポリプロピレン)0.91水に浮く。耐薬品性が高い
PE(高密度ポリエチレン)0.95安価で耐衝撃性がある
硬質PVC(塩ビ)1.40配管・タンク材に多い
PC(ポリカーボネート)1.20透明で耐衝撃性が高い。安全カバー用途
ABS1.05加工性が良く筐体に多い
PTFE(フッ素樹脂)2.17樹脂のなかでは重い部類。耐薬品性は最高水準
PEEK1.32スーパーエンプラ。高温下でも強度を保つ
PET1.38寸法精度が出しやすい
アクリル(PMMA)1.19透明度が高い。割れやすい
紙ベークライト1.35絶縁部品・治具用途

数字の並びだけでは実感が湧きにくいので、同じ寸法で比べてみます。φ50×1,000mmの丸棒1本で、SS400は15.4kg、SUS304は15.6kg、A5052は5.3kg、POMは2.8kg、PPは1.8kgです。鋼材とPPでは、同じ形でも重量が8倍以上違います。

計算値と実際の重量がずれる3つの要因

式どおりに計算しても、納品された材料を実際に量ると数字が合わないことがあります。原因はだいたい次の3つです。

寸法公差

市販材には公差があります。引抜き丸棒であればマイナス側に振れていることが多く、板材も厚さに幅を持っています。1本単位では誤差の範囲でも、数百本まとめると無視できない差になります。

表面処理

めっきやアルマイト、塗装の膜厚は数µmから数十µmなので、重量への影響はほとんどありません。ただし溶融亜鉛めっきのように膜厚が数十µmを超える処理では、部品によっては数%の増加になります。

削り代(ここが最も大きい)

3つのなかで金額への影響が圧倒的に大きいのが、この項目です。図面に描かれているのは完成品の寸法ですが、実際に発注するのは削り代を足した素材取り寸法です。

たとえば図面がφ48の部品でも、材料として買うのはφ50の丸棒です。断面積は直径の二乗に比例するので、50²÷48²で約1.085倍、つまり重量は8.5%増えます。長さ方向も同様に、端面の仕上げやチャックのつかみ代として10mmから20mm程度は余分に見込みます。

見積りの材料費を出すときは、必ず素材取り寸法で計算してください。図面寸法で計算した数字をそのまま使うと、量産に入ってから利益が出ないという事態になりかねません。

重量が効いてくる4つの場面

材料費の見積り

鋼材も樹脂も、丸棒や板材で買う場合の価格はkg建てで決まるのが一般的です。重量が出なければ材料費が出ません。最も直接的な用途です。

輸送費と荷姿の判断

一般的な宅配便で扱える重量は1個あたり25kgから30kg程度で、これを超えると路線便やチャーター便に切り替わり、運賃の考え方そのものが変わります。長尺物であればサイズ制限も絡みます。見積り段階で総重量が分かっていれば、輸送手段まで含めた価格提示ができます。

代替材への振り替え検討

材料が入らないときの振り替えでは、kg単価だけを比較しても実際のコストは読めません。密度が違えば、同じ図面でも必要な材料重量そのものが変わるからです。SUS304の7.93に対してSUS430は7.70、PTFEの2.17に対してPEEKは1.32というように、選択肢によって差の大きさもさまざまです。kg単価の高い材料でも、必要重量が減った結果として総額では逆転することがあります。

具体的な振り替え先の選び方は、ステンレス調達難を防ぐ代替材提案と複数ルート開拓術およびフッ素樹脂(PTFE・PFA等)の調達難と代替戦略で詳しく扱っています。

人力で運べるかどうかの判断

見落とされやすいのがこの点です。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」では、常時人力のみで取り扱う重量について、満18歳以上の男性は体重のおおむね40%以下、女性は24%以下という目安が示されています。製造業では10kg程度に設定している事業場もあります。

先ほどのφ50×1mのSS400丸棒は15.4kgですから、体重60kgの男性であれば1本は目安の範囲内ですが、2本まとめて持てば30kgを超えて明確にオーバーします。材料の入荷形態を決める段階でこの数字を押さえておくと、受け入れ作業の負担や台車の要否まで含めて設計できます。

まとめ

材料重量の計算は、体積に密度を掛けるだけの単純な作業です。押さえるべきは、単位をmmとg/cm³で揃えて最後に1,000,000で割ること、そして図面寸法ではなく素材取り寸法で計算することの2点になります。

密度一覧と計算ツールは、見積りのたびに開き直して使える形にしてあります。手元に置いておくと、電話口で概算を答えられる場面が増えるはずです。

⚠️ 製品のご購入・導入に関するお願い

本記事で紹介しているツールや機器などは、工場のインフラ環境(電圧の違い、Wi-Fi電波の届きやすさ、PLCの仕様など)によって適合可否が異なります。
ご購入の際は、必ず事前にメーカーの公式サイトやカタログ等で仕様をご確認いただき、ご自身の現場環境に適合するかをご判断のうえ導入をお願いいたします。

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